中医協は1月17日の総会で、6月実施の診療報酬改定で対応の優先度が高い177件の技術を決めた。培養同定、薬剤感受性など細菌関連検査の項目が広く含まれており、点数が引き上げられる見通しとなった。また過去4回の診療報酬改定で増点が続いている採血料も「妥当性が示されている」とされ、引き上げられる見込み。
各医学会などからの要望のうち、使用する薬剤や医療機器が承認されていないなどの理由で対象外となった116件を除く計774件を評価した結果、「診療報酬改定において対応する優先度が高い技術」に177件を選んだ。うち新規技術は56件、既存技術が121件。一方で、597件は「今回改定では対応を行わない技術」とされ、見送りが決まった。
次期改定について日本臨床検査医学会は、2012年度改定以後、多くの項目の点数が据え置かれてきた細菌関連検査を軸に要望。現在の診療報酬点数は、試薬代などのコストに見合わないとして、広く点数を引き上げるよう求めていた。
中医協は、細菌培養同定検査、細菌薬剤感受性検査の各項目についての点数を引き上げる要望に対し、「妥当性が示されている」と評価した。
採血料である「血液採取・静脈」の増点のほか、日本臨床検査専門医会が申請した「血小板凝集能」「末梢血液像(鏡検法)・特殊染色加算」の増点要望についても優先度が高いと判断した。
ほかに、「『EBウイルス核酸定量』の上咽頭がんへの算定要件の拡大」(申請団体=日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)、「サイトメガロウイルス核酸定量」(日本周産期・新生児医学会)の適応拡大などが優先度の高い技術と位置付けられ、今回改定で対応する見込みとなった。
病理領域では、「迅速細胞診(検査中の場合)」や「悪性腫瘍病理組織標本加算」の増点が盛り込まれた。
このほか、先進医療として実施されている「遺伝子パネル検査による遺伝性網膜ジストロフィーの遺伝子診断」と、日本感染症学会と日本臨床微生物学会を共同作成学会として、東ソーが申請していた「インフルエンザ核酸検出(迅速)」は、中医協の専門組織での審議の結果を踏まえて「評価すべき医学的有用性が示されている」として、優先度が高い技術に位置付けられた。
●外来のISO加算は見送り
一方、検査医学会が求めていた「迅速微生物核酸同定・定量検査加算」の適用拡大、日本臨床検査専門医会が要望していた外来患者も評価対象とすることを目指した「国際標準検査管理加算」の算定要件の見直しなどは、「別途評価を行うべき根拠が十分に示されていない」として、今回改定での対応は認められなかった。
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