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【医学検査学会】タスクシフト、医療の質向上へ推進を 全国学会で各種セッション

  • kona36
  • 5月26日
  • 読了時間: 3分

更新日:5月26日

座長を務めた小坂氏(右)と益田氏
座長を務めた小坂氏(右)と益田氏
 第74回日本医学検査学会(湯田範規学会長)は鳥取県臨床検査技師会が担当し、5月10〜11日の2日間、大阪市で開かれた。日本臨床衛生検査技師会は、企画したセッションの多くでタスクシフト・シェアを取り上げ、関連する2つの医学会との共催シンポジウムも開いた。法改正により業務範囲が拡大されてから3年以上が過ぎ、出席した医師からは、医療の質を向上させるためにタスクシフトが重要だとの意見が相次いだ。

 「臨床検査技師のタスクシフトは世界でも日本がリードしている。その有効性や安全性は間違いなく高い」。10日に開かれた日臨技企画のシンポジウム。タスクシフト・シェアの有効性や安全性をテーマにした厚生労働科学研究班の主任研究者、小坂鎮太郎医師(東京都立広尾病院)が登壇し、実践を呼びかけた。医療の質を高め、医療費を適正化し、さらに医師の時間確保や臨床検査技師のやりがいにもなる「四方よし」のタスクシフトを訴えた。

 小坂氏が所属する総合診療科では、薬剤師が処方を提案し、医師が承認する形で薬剤処方のタスクシフトを進めたところ、処方箋の疑義照会率が大きく低下し「より安全で質の高い薬物療法が実現した」。医師は処方に費やしてきた時間を患者や家族とのコミュニケーションに使え、また薬剤師にとっても臨床の意思決定に関われることがモチベーションになっているという。

 小坂氏は「やはり餅は餅屋だ。業務の流れを見直し、任せてしまうことでより安全かつ効率的にできる。これは全ての職種で一緒」と述べた。その上で、こうしたタスクシフトに対応できる医療スタッフはそもそも能力が高く、地域の医療連携でも中心的な役割を担うことができるとの認識を示した。

●SOP作成などに共通点

 これに先立ち日臨技常務理事の益田泰蔵氏(国立精神・神経医療研究センター病院)は、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や藤田医科大学病院(愛知県豊明市)などの好事例について報告した。業務手順書の作成、研修プログラムの明確化、力量評価の3点が共通に行われ、業務の安全性が確保されていると説明した。

 さらに、技師長が日頃から他職種の部門長と良好な関係を築き、新たな業務に取り組む上での障壁を低くしていたとも指摘。現場の臨床検査技師も医師や看護師との良好なコミュニケーションを取り信頼されていたとし、タスクシフト・シェアを進めていく上で普段からの関係づくりがベースになることを示した。

 今回の学会では、日本病理学会、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)のそれぞれとの共催シンポジウムもあった。新たな試みで、両学会の代表が座長やシンポジストを務めた。
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