日本臨床衛生検査技師会は1月27日に開かれた全国臨床(衛生)検査技師会会長会議で、能登半島地震への対応状況について報告した。避難所への支援活動では、JMAT(日本医師会災害医療チーム)と連携しながらの深部静脈血栓症(DVT)検診が本格化していることや、検査室機能の維持が難しい被災医療機関に臨床検査技師を派遣していることが説明された。
JMATに帯同する形でのDVT検診では、1月21日には中部圏支部の各技師会と福井県臨床検査技師会の協力を得て検査技師12人を穴水地区に、1月28日には18人を輪島地区に派遣。2月3~6日には珠洲・能登地区や金沢市内でDVT検診を行うため、中部圏支部だけでなく、首都圏・関甲信支部の協力を得ながら検査技師を派遣する見通しを示した。1月21日に実施したDVT検査では、避難所でエコー検査を受けた111人のうち、11人(9.9%)で血栓が検出されたことも報告された。
検査機能の維持が難しい被災医療機関への検査技師派遣では公立穴水総合病院、公立宇出津総合病院、市立輪島病院に1~2人の検査技師が派遣されているという。
状況を報告した深澤恵治専務理事は、被災地への支援活動について「避難所等でDVT検査を行う団体として認識はされているが、しっかり理解されていない面もある」とした上で、「日医など、しかるべき団体と連携して行動する必要がある」と説明。今後は、スムーズな支援活動を行うために日医等の関係団体と、災害対応に関する協定締結などを検討したい考えを示した。
●人的支援の協力を 石臨技・長原会長
ウェブで参加した石川県臨床衛生検査技師会の長原三輝雄会長は、被災地域では、「現地の検査技師の多くが避難所生活を余儀なくされており、業務に従事できる検査技師は約半数の状況だ」としたほか、断水が続いている施設も多く、検査機能の維持が難しい現状があることを説明した。また、検査関係団体による物的支援に謝意を示す一方で、人的な支援が課題になっていることも指摘。今後の人的支援のための人員確保について「被災県だけでは対応できない。各都道府県技師会の協力を頂ければと思っている」と話した。
現地技師会・災害対策本部の南部重一室長(日臨技中部圏支部長・富山県臨床検査技師会会長)も「まだまだ先が見えない状況が続いている。日臨技全体でのバックアップをお願いしたい」と協力を呼びかけた。