パニック値報告の課題さまざま 病院・検査センターの各調査報告、検査医学会学術集会パニック値を取り上げた委員会企画が開かれた 日本臨床検査医学会の学術集会は11月28日~12月1日に大阪市で開かれ、1日に「クリティカルバリュー」(パニック値)についての委員会企画があった。病院、検査センターをそれぞれ対象としたアンケート調査結果の報告があり、パニック値報告の項目が施設によってまちまちであるなどの状況が分かった。●「初回値を報告」は22% 病院対象の調査はチーム医療委員会が2022年に行った。同委員会が「臨床検査『パニック値』運用に関する提言」の初版を出した1年後に当たる。対象は108病院で、103病院の回答を集計した。回収率は95.4%。600床以上が75%を占めた。 調査結果によると、パニック値が設定されている項目数(生化学・血算・凝固)の中央値は18項目で、最大66項目、最小4項目と、施設によって大きく異なっていた。検査専門医がいる病院はいない病院に比べて設定項目数が有意に少なく、特にT-BilやBUN、APTT、AMYは格差が大きかった。 パニック値の最初の報告先については、「必ず依頼医」が64%と最多で、次いで「看護師の場合もある」が22%となった。報告のタイミングは、「再検査して値が確定してから」が69%と多く、「第一報としてすぐに報告」は22%にとどまった。 報告後、臨床側が対応したかどうかのカルテの確認は、「事例によって確認」が50%で、「いつも確認」が23%、「確認していない」も23%だった。確認者は報告した臨床検査技師が57%と多かった。●一目で分かる表示、36%が「してない」 群馬大学・国際医療福祉大学の村上正巳氏は、2023年度厚生労働科学研究で行われた衛生検査所のアンケート結果を報告した。パニック値の報告を医療機関にしているのは、全回答施設の86%に当たる70カ所。連絡方法(複数回答可)はファクスが68カ所、電話が58カ所と多く、電子メールは6カ所にとどまった。 また、検査結果報告書に一目でパニック値と分かるよう表示しているかを聞いたところ、「表示している」は64%、「表示していない」が36%で、表記上目立つ工夫をしていないセンターが少なくない。
パニック値を取り上げた委員会企画が開かれた 日本臨床検査医学会の学術集会は11月28日~12月1日に大阪市で開かれ、1日に「クリティカルバリュー」(パニック値)についての委員会企画があった。病院、検査センターをそれぞれ対象としたアンケート調査結果の報告があり、パニック値報告の項目が施設によってまちまちであるなどの状況が分かった。●「初回値を報告」は22% 病院対象の調査はチーム医療委員会が2022年に行った。同委員会が「臨床検査『パニック値』運用に関する提言」の初版を出した1年後に当たる。対象は108病院で、103病院の回答を集計した。回収率は95.4%。600床以上が75%を占めた。 調査結果によると、パニック値が設定されている項目数(生化学・血算・凝固)の中央値は18項目で、最大66項目、最小4項目と、施設によって大きく異なっていた。検査専門医がいる病院はいない病院に比べて設定項目数が有意に少なく、特にT-BilやBUN、APTT、AMYは格差が大きかった。 パニック値の最初の報告先については、「必ず依頼医」が64%と最多で、次いで「看護師の場合もある」が22%となった。報告のタイミングは、「再検査して値が確定してから」が69%と多く、「第一報としてすぐに報告」は22%にとどまった。 報告後、臨床側が対応したかどうかのカルテの確認は、「事例によって確認」が50%で、「いつも確認」が23%、「確認していない」も23%だった。確認者は報告した臨床検査技師が57%と多かった。●一目で分かる表示、36%が「してない」 群馬大学・国際医療福祉大学の村上正巳氏は、2023年度厚生労働科学研究で行われた衛生検査所のアンケート結果を報告した。パニック値の報告を医療機関にしているのは、全回答施設の86%に当たる70カ所。連絡方法(複数回答可)はファクスが68カ所、電話が58カ所と多く、電子メールは6カ所にとどまった。 また、検査結果報告書に一目でパニック値と分かるよう表示しているかを聞いたところ、「表示している」は64%、「表示していない」が36%で、表記上目立つ工夫をしていないセンターが少なくない。