近畿大学医学部の高濱隆幸講師や鳥取大学医学部附属病院の阪本智宏特任助教らのグループは、国内の肺がん患者を対象に遺伝子検査の実施状況を調べた結果をまとめた。全国29の医療機関で診断された非小細胞肺がん症例のうち、複数の遺伝子を同時に検査するマルチ遺伝子検査が行われていたのは半数で、治療方針決定のために必要な検査が十分に行われていなかったとしている。
調査結果の論文は12月16日、国際的な科学雑誌「JAMA Network Open」にオンライン掲載された。
非小細胞肺がんは、遺伝子検査の結果に応じて分子標的治療薬を用いることが診療ガイドラインで推奨されている。研究グループが2020年7月からの1年間に非小細胞肺がんと診断された1479人について調べたところ、何らかの遺伝子検査は86.1%に行われていたが、マルチ遺伝子検査の実施は47.7%だった。