休日・夜間も血培陽性に対応 小牧市民病院の臨床検査科が「3つの改革」 日本臨床微生物学会の総会・学術集会で1月26日、「微生物検査室のSDGs」をテーマにしたパネルディスカッションがあり、小牧市民病院(愛知県小牧市、520床)の西尾美津留氏が、細菌検査の業務改革について報告した。積極的に部署間異動を行うなどして戦略的に検査技師を育成し、微生物検査担当技師が出勤回数を増やすことなく、休日・夜間の血液培養陽性報告ができるようになった。 説明によると小牧市民病院の臨床検査科の職員数は、非正規を含め54人。2交代勤務制で、休日日勤、夜勤ともに完全2人体制で検査を行う。 日勤者は午前8時30分から午後5時15分まで、夜勤者は午後5時から翌午前10時までが勤務時間。平日日勤は自部署の業務を行い、平日夜勤、休日は当番業務に当たる。 休日日勤は平日に1日の公休を取得するが、休日夜勤は日勤2勤務分のカウント。土曜日に夜勤をすると平日に2日の公休が取れるという「非常にホワイト(健全)な労働環境」(西尾氏)の一方、有給休暇の取得も含めると微生物検査室の5人全員がそろう日はほぼないという。 血液培養は医師への結果報告が早いほど患者の死亡リスクが低下することが報告されていて、休日や夜間も陽性報告できれば感染症診療の質向上が期待できる。西尾氏は、「血液培養陽性は土日も絶やさず報告しなければならず、休日勤務に縛られながら仕事の構築を考えていくことが課題」と指摘。その上で、臨床検査科全体で3つの改革を進めてきたことを説明した。 1つ目は長期的な人材育成。1〜3年で部署を異動させ、経験者には夜間・休日も微生物検査を行ってもらう。2つ目は、部署間の人員トレード。他部署との間でスタッフを1〜2カ月、交代させ、血液培養陽性を医師に報告したり、グラム染色や同定検査、薬剤感受性検査などが行えたりするようトレーニングする。 3つ目は、部内委員会の活用。微生物検査技師の教育のもと、委員会活動で若手が血液培養陽性症例に対して積極的に取り組んだ。30例を経験し、判定の精度に問題がなければ医師への報告を行うという教育の枠組みを完成させた。 3つの取り組みにより、微生物検査室の5人を含め計16人の技師が血液培養検査陽性に対応できるようになった。2交代勤務を行う37人の4割以上に当たる。 昨年末から年始にかけての9連休では、微生物検査担当技師の休日夜間出勤を特に増やすことなく、「ほぼ全ての時間帯で血液培養陽性報告が可能で、かつ毎日、血液培養の同定・感受性報告が可能」となった。
日本臨床微生物学会の総会・学術集会で1月26日、「微生物検査室のSDGs」をテーマにしたパネルディスカッションがあり、小牧市民病院(愛知県小牧市、520床)の西尾美津留氏が、細菌検査の業務改革について報告した。積極的に部署間異動を行うなどして戦略的に検査技師を育成し、微生物検査担当技師が出勤回数を増やすことなく、休日・夜間の血液培養陽性報告ができるようになった。 説明によると小牧市民病院の臨床検査科の職員数は、非正規を含め54人。2交代勤務制で、休日日勤、夜勤ともに完全2人体制で検査を行う。 日勤者は午前8時30分から午後5時15分まで、夜勤者は午後5時から翌午前10時までが勤務時間。平日日勤は自部署の業務を行い、平日夜勤、休日は当番業務に当たる。 休日日勤は平日に1日の公休を取得するが、休日夜勤は日勤2勤務分のカウント。土曜日に夜勤をすると平日に2日の公休が取れるという「非常にホワイト(健全)な労働環境」(西尾氏)の一方、有給休暇の取得も含めると微生物検査室の5人全員がそろう日はほぼないという。 血液培養は医師への結果報告が早いほど患者の死亡リスクが低下することが報告されていて、休日や夜間も陽性報告できれば感染症診療の質向上が期待できる。西尾氏は、「血液培養陽性は土日も絶やさず報告しなければならず、休日勤務に縛られながら仕事の構築を考えていくことが課題」と指摘。その上で、臨床検査科全体で3つの改革を進めてきたことを説明した。 1つ目は長期的な人材育成。1〜3年で部署を異動させ、経験者には夜間・休日も微生物検査を行ってもらう。2つ目は、部署間の人員トレード。他部署との間でスタッフを1〜2カ月、交代させ、血液培養陽性を医師に報告したり、グラム染色や同定検査、薬剤感受性検査などが行えたりするようトレーニングする。 3つ目は、部内委員会の活用。微生物検査技師の教育のもと、委員会活動で若手が血液培養陽性症例に対して積極的に取り組んだ。30例を経験し、判定の精度に問題がなければ医師への報告を行うという教育の枠組みを完成させた。 3つの取り組みにより、微生物検査室の5人を含め計16人の技師が血液培養検査陽性に対応できるようになった。2交代勤務を行う37人の4割以上に当たる。 昨年末から年始にかけての9連休では、微生物検査担当技師の休日夜間出勤を特に増やすことなく、「ほぼ全ての時間帯で血液培養陽性報告が可能で、かつ毎日、血液培養の同定・感受性報告が可能」となった。