中医協は1月31日の総会で、6月実施となる診療報酬改定の個別項目に関する議論を大筋で終えた。今回の改定は医師の働き方改革に関連する医療関係職種の賃上げと医療DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応が柱。診療報酬の引き上げ分(0.61%)を看護師や臨床検査技師などの医療従事者の賃上げに充てる。改定項目には、勤務する看護職員やその他の医療関係職種の賃金を改善した医療機関(医科)が算定する「外来・在宅ベースアップ評価料」と「入院ベースアップ評価料」の新設を盛り込んだ。
医療関係職種の賃上げは、春闘などの結果に基づく全産業平均と合わせる形で、ベアを2024年度に2.5%増、2025年度に2.0%増とする。賃上げ促進税制の有効活用などを前提に、診療報酬での賃上げ率は2.3%を想定している。対象となる職種は医師や歯科医師以外の医療関係職で、臨床検査技師、診療放射線技師など。事務作業に専従している場合は含まれない。
算定した医療機関は、2024年度と2025年度に定期昇給以外で対象職員の賃金を引き上げなければならない。賃金の改善計画を作成するなどの要件や施設基準を満たす必要がある。初診時や再診時、訪問診療時、入院時に1日1回、ベースアップ評価料を算定できる。
●地域の感染防止対策を評価
新興感染症対策では、地域の感染防止体制を強化する。「感染対策向上加算」は、新興感染症発生時の対応要件を追加する。具体的には、介護老人保健施設などの介護保険施設や指定障害者支援施設などとの連携体制を求める。
薬剤耐性(AMR)対策では「サーベイランス強化加算」について、WHO(世界保健機関)がまとめたAWaRe分類で、耐性化の懸念が低いとされる抗菌薬の使用割合や使用状況に関するサーベイランスへの参加を評価する体系に見直す。
中医協は今後、診療報酬改定の答申に向けた議論を進める。改定告示は3月を予定。改定は6月実施だが、改定に伴う運用などの通知は告示以降、順次まとめられる予定。