医療DX、地方の検査室でまず不可避に 永生総合研究所の神戸氏mitsui045月19日読了時間: 2分講演する神戸氏 日本医療検査科学会の春季セミナーは4月20日、「絶え間ないメディカルイノベーション」をテーマに青森県弘前市で開かれた。医療法人社団永生会(東京都八王子市)の永生総合研究所の神戸翼氏(臨床検査技師)が医療DX(デジタルトランスフォーメーション)について講演し、医療技術部門では、人材不足が深刻化する地方でまず医療DXへの対応が不可避になるとの見方を示した。 神戸氏は、臨床検査のニーズは入院よりも外来患者の動向によるところが大きく、2045年に向けて多くの都道府県で外来患者の減少が予想されていることを説明。一方、供給面については、臨床検査技師の人数は日本全体では増加していても地域偏在があり、特に養成学校のない地域では人材不足が深刻になると見通した。 大都市に比べて地方では、検査ニーズの減少を上回るペースで人材不足が深刻化するとし、少ない検査技師で検査部門を運営することが求められると指摘。こうした小規模検査室では今後、新人教育が難しくなり、職員の非常勤化や外部委託、ロボット化などが運営上の課題になるとし、いかにDXを進めるかが重要になるとの認識を示した。 厚労省が進める医療DXの一つである「全国医療情報プラットフォーム」については、医療・介護の情報と個人の健康情報とを結び付けるプラットフォームをつくる取り組みだと解説。医療・介護サービスの無駄を省くことが大きな目的だとし、「重複している臨床検査を減らす流れもこの中に入ってくると予想がつく」と述べた。