会計検査院は10月17日、新型コロナウイルスの全ゲノム解析のため国の交付金で医療機関などに整備された次世代シーケンサーについて、18道府県の63台のうち、8道府県の21台がほぼ利用されていなかったとの調査結果をまとめた。都道府県からの要請で行政検査を行う本来の目的に沿って機器が活用されるよう、厚生労働省に申し入れた。
2020~2021年度に18道府県で整備された次世代シーケンサー(NGS)の63台について、2022年度末時点の状況を調べた。その結果、地方衛生研究所に整備された34台は、整備目的に沿った使用実績があった。しかし、検査会社や大学、医療機関に整備された11道府県の29台のうち、8道府県の21台は、本来の目的に沿って一度も使用されていなかった。8道府県は北海道と京都、埼玉、千葉、兵庫、長崎、熊本、沖縄で、21台の交付金相当額は計5億8653万円余りに上る。
21台のうち14台は全く使用されず、7台は使用実績はあったが行政検査を行う本来の目的ではなかった。厚生労働省の交付要綱の記載が不明確で、自治体側と検査機関との間で事前に必要な検討がされていなかったことなどが原因だという。検査院は、厚労省や都道府県に改善を求めている。
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