官民連携の結核対策を進める「ストップ結核パートナーシップ日本」(東京都千代田区)は3月25日、前日24日の世界結核デーにちなみ、厚生労働省内で記者発表会を開いた。加藤誠也理事(結核予防会結核研究所長)が多剤耐性結核(MDR-TB)の治療について報告し、世界保健機関(WHO)が推奨している治療レジメンの医薬品が日本では未承認となっている問題を指摘。対象患者数が少なく商業ベースに乗せる難しさを指摘しつつも、承認を働きかけていく必要があるとの考えを示した。
MDR-TBは、抗結核薬イソニアジドとリファンピシンに耐性の結核を指し、国内発生数(2022年)は年26人。治療の有効性が低く治療期間が長期になることなどが課題だったが、世界では治療レジメンの開発が進み、WHOは2022年、ベダキリンなど4剤を6カ月間併用する治療レジメンのBPaLM療法を推奨するガイドラインを発表している。この内容に沿って日本結核・非結核性抗酸菌症学会が日本向けにアレンジした治療レジメンをまとめたが、使用薬剤のうちリネゾリド、クロファジミンは結核への使用が承認されていない。このため保険診療には使えるが、国の公費負担の対象にならない。
また、内服薬による6カ月の治療レジメンに使われるプレトマニドも国内未承認で、いまだに長期療法が行われているという。
加藤氏は、「日本は世界の最新治療から残念ながら遅れている」とし、途上国など多くの国で使える治療レジメンが国内では使えず長期療法になっている問題を指摘。さらに治療費の公費負担がされず自己負担が大きいことも問題だとした。
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