大腸がんの5割に細菌関与の変異パターン 国がんなどが症例解析kona366月9日読了時間: 1分 国立がん研究センターと東京大学医科学研究所は5月21日、国際共同研究での大腸がんの症例解析で、日本人症例の5割にコリバクチン毒素による変異パターンがあることが分かったと発表した。同毒素は一部の腸内細菌から分泌される。変異パターンは高齢者に比べ若年者に多く、若年者大腸がんの発症要因である可能性が示された。 同日会見した同センターのがんゲノミクス研究分野の柴田龍弘分野長は、「今回は症例が少なく、さらに国内の症例を集めているところ」と説明。今後「変異パターンが国内でどれくらい広がっているのか調べていきたい」と話した。 コリバクチン毒素による変異パターンが日本人で多い要因が不明であることから、環境要因や食生活などの患者背景との関連も調べていきたい考えだ。メカニズムの詳細が分かれば、将来的には大腸がんの予防法や治療法につながる可能性があるという。 日本を含む11カ国の国際共同研究では、大腸がん981例を対象に全ゲノム解析を実施した。このうち日本人28例の半数にコリバクチン毒素による変異パターンがみられ、他国の平均の約2.6倍だった。また、日本人での変異パターンは高齢者症例(70歳以上)と比べ、若年者症例(50歳未満)で3.3倍高い傾向が見られた。 研究成果は英科学専門誌「Nature」に発表された。