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救急救命士によるエコー検査、「腹腔内液貯留に限定案」にも反対意見 3月末まで報告書も結論見通せず


 救急医療についての厚生労働省のワーキンググループ(WG)は3月7日開かれ、デジタル田園健康特区の岡山県吉備中央町が提案している救急救命士による超音波検査の実施について、前回に続き議論した。町側は、検査の対象を出血などの腹腔内液貯留に限定する方針を示したが、WGの構成員からなお慎重意見が出て、結論が出なかった。厚労省は、3月末までにこれまでの議論を報告書にまとめる考えだが、実施の是非の結論を盛り込めるかどうかは見通せない。


 吉備中央町や岡山大学は、遠方からの医師の指示の下、救急搬送中の重症患者に対し救急救命士が超音波検査を行える規制緩和を主張。救急車内で行ったエコーの画像を医師が観察することで、適切な搬送先が選べ、病院側の事前準備も可能になるとしている。しかしこれまでのWGの会合では構成員から、「走行中の揺れる車内で超音波検査をするのは困難」「大動脈解離も含めるなら岡山大学が提案している2時間の講習では足りない」など慎重意見が出ていた。


●腹腔内液貯留に限定


 こうした意見を受けて同日の会合で町側は、検査の対象を「腹腔内液貯留(肝破裂、脾破裂等)」に限定し、遠隔の医師が出血や病変の有無を確認すると変更。検査する箇所を、▽骨盤腔(膀胱上窩/ダグラス窩)▽肝腎境界面▽脾腎境界面―の3カ所とし、システム起動から医師の実施判断、検査、医師の確認までを2分以内に行うと想定した。超音波検査は必須ではなく「あくまで対応の選択肢を増やすもの」とし、車内の揺れが大きいなどの場合は医師の判断で実施せず、通常のプロトコルで対応するとした。


 これに対しWGの構成員からは慎重意見が相次いだ。チーム医療推進協議会理事の深澤恵治氏(日本臨床衛生検査技師会専務理事)が議論の口火を切り、「超音波検査は医行為の中でも技術面の難易度が高い」と真っ向から反対。日本看護協会常任理事の井本寛子氏は、救急救命士は現状でも車内でさまざまな救命処置を行っているとし、「難易度の高い超音波検査を実施させるほどの必要性(があるか)に納得がいかない」と述べた。


 会合に欠席した日本救急看護学会理事の淺香えみ子氏は意見書を出し、「やってみたらできるので実装しましょうといった検討方法は専門職の在り方、倫理性の観点から懸念を感じる」と反対の考えを示した。


 また日本救急救命士協会は鈴木哲司会長名の意見書をWGに提出した。意見書は、超音波検査を行うには「最低3年の教育課程を修了したものとすべき」とし、「国民の救急医療安全が脅かされることのないよう」に慎重な議論を求めた。




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