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救急救命士によるエコー検査、特例実施の計画を確認へ 厚労省WG、効果や弊害など検証

厚労省WGに出席した深澤氏(中央)

 救急救命士が救急搬送中に超音波検査を行うとした岡山県吉備中央町や岡山大学の提案について厚生労働省のワーキンググループ(WG)は3月21日、今後の進め方を大筋でまとめた。町側が予定する計画の詳細な内容をWGが確認した後、厚労省が救急救命処置の特例として実施を認め、効果があるか、弊害がないかを実証研究で確認する。


 厚労省は、できるだけ早く計画の内容を確認したいとしているが、そもそも救急搬送中に超音波検査を行う有用性があるのか、超音波検査の体系的な教育を受けていない救急救命士への研修をどう行うのかなど論点は多く、こうした点を検証できる研究計画がいつまとまるのかが次の焦点となる。


 政府の決定によりWGは、3月末までの議論の内容をひとまずまとめることになっている。このため厚労省は同日の会合に、議論をまとめた資料の案を提出し、この中で今後の進め方を示した。具体的には、▽町側が今後、研究計画を詳細にまとめ、WGが確認する▽研究計画が固まった時点で厚労省が救急救命処置のルールを緩和し、エビデンスを収集するための実証研究を行う―の大きく2段階で進める。研究計画の詳細は、岡山大学が中心となり、WG側とやりとりしながらまとめる。


 案はまた、実施に当たって留意すべき点を3つ挙げ、▽病院前のエコー検査の有用性を検証する上で、すでに法令上、エコー検査の実施が認められている医療関係職種が関与すべき▽研究デザインをより精緻にすること。その際、対象を腹腔内液貯留に限定する案などをベースにする▽救急救命士によるエコー操作の習熟度を高める研修の在り方を検討する―と記した。


 同日のWGでも構成員から、「超音波検査の実施が救命率の向上につながるのか論拠が不明確」「救急搬送中に超音波検査を行う必要性に納得がいかない」など町側の提案に慎重意見が相次いだ。チーム医療推進協議会理事の深澤恵治氏(日本臨床衛生検査技師会専務理事)も「チーム医療推進協議会としてはなかなか納得できない」と改めて反対した。


 さらに深澤氏は、「実証研究をして効果が出なければ全国では実施しないことになるか」と質問。これに対し厚労省は、「最初から設定した結論が出なければ全国展開はしない」と答え、吉備中央町で有用性が確認されなければ全国では実施されないとの認識を示した。


2024.06.03_記事下登録誘導バナー_PC.png

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