検査センターとの共存が必要 病理学会シンポで佐々木氏mitsui045月1日読了時間: 2分講演する佐々木氏 日本病理学会総会は4月17~19日に仙台市で開かれ、病理診断の在り方や診療報酬改定などをテーマにしたシンポジウムが19日にあった。この中で慶應義塾大学医学部がんゲノム医療センターの佐々木毅氏は、病理診断は医行為であることを前提に、病理診断を行う医療機関と、標本作製を受託する検査センターが協働・共存する必要性を述べた。 佐々木氏の説明によると病理の検査センターは、医療機関から1件3000~5000円程度で病理標本の作製を受託している。さらにこの金額の中から病理検査報告書を作成する医師への支払いもしている。しかし、材料費の高騰や人件費の増加などで病理検査センターの経営は厳しくなっており、北海道や宮城県、奈良県などの地方を中心に病理検査センターの撤退が散見されるという。 佐々木氏は、今後さらに検査センターの経営が厳しくなれば、医師に支払う病理検査報告書の作成料を下げざるを得なくなるとし、次世代の病理医のためにこうした慣行を止める必要があると主張。「病理診断と、衛生検査所の標本作製とのすみ分け」を提唱した。 具体的には、ホスピタルフィー(検査技師の技術料等)と、ドクターフィー(病理医の技術料)を分離し、検査センターは標本作製に特化する一方、病理診断科を標榜する医療機関が病理診断を行い保険診療で認められた技術料を算定する。 佐々木氏は、この仕組みを整備するためには、検査センターが作製した標本の受け皿となる病理診断科の診療所を今よりも開業しやすくする必要があるとし、施設基準の見直しを訴えた。