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検査技師ら医療者への物品提供を禁止 倫理規定の見直し受け


 医療機関や医療従事者に対する贈答品やノベルティの提供ルールの見直しが世界規模で進んでいる。日本でもシーメンスヘルスケアやアボットジャパンがすでに見直しに乗り出し、臨床検査技師ら医療関係者に理解を求める文書を昨年出した。日本臨床検査薬協会が加盟する日本医療機器産業連合会(医機連)は、景品提供の基本指針となるプロモーションコードの内容を今年4月に改定しており、国内各社も期限の2025年末までに対応が求められている。

 提供ルールの見直しは、アジア・太平洋経済協力会議(APEC)の倫理規定「クアラルンプール原則」(KL原則)の改定を受けたもの。KL原則は、医療機器企業と医療関係者との関係を適切かつ透明化するよう求めており、「製品のブランドを連想させる少額景品、社会的儀礼、娯楽もしくはレクリエーションを含む贈り物」の提供を禁止した。社会的儀礼は中元や歳暮、手土産、花、香典、祝儀など、少額景品はカレンダーや手帳、ノベルティなどが該当する。

KL原則では、臨床検査技師ら医療関係者へのこうした利益供与が、取引の獲得や維持、不適切で違法な誘引の手段と見なされる可能性を指摘。また、接待を伴うイベントへの出席、贈り物などについても不適切だとの考えを示した。一方で「ささやかで適切な教育用資材や患者向け資材」については提供できるとしている。

 KL原則の改定についてAPECは、加盟各国・地域に所在する企業に対して2025年中の対応を求めている。この動きを受けてアジア太平洋医療技術協会(APACMed)は2024年1月からのルール見直しを決定。シーメンスやアボットなど外資系企業が日本国内での対応を進めた。

 一方、国内企業も対応を迫られる。医機連はKL原則への対応を踏まえて医療機器業プロモーションコードの「解説」を改訂し、KL原則に関する事項を追記した。「教育的物品」を提供可能なものに加えた。

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