厚生労働省は、医療DXの一つで開発している標準型電子カルテのアルファ版の使い勝手などを検証するモデル事業を3月から始める。電子カルテ未導入の医科無床診療所が対象で、検査情報などを共有する「電子カルテ情報共有サービス」、外注検査システムとの連携などを確認し、本格実施に向けた課題を探る。アルファ版は2025年度に提供を開始する予定だ。
1月31日、関連のワーキンググループにモデル事業の実施計画を示した。それによるとモデル事業は全国数カ所の地域で行い、実施期間は半年以上を予定している。参加施設数を順次増やし25年度中に十数施設程度とする。
厚労省の集計によると電子カルテの普及率(2023年)は一般診療所が55%、200床未満病院が59%で、大規模病院に比べて低い。このため、200床未満の中小病院や診療所向けの「標準型電子カルテ」を開発・提供し、電子カルテの普及を促す方針。医科の無床診療所向けのアルファ版の提供を2025年度に開始し、その上で、2026年度以降に、入院にも対応した本格版にする計画。
標準型電子カルテは、厚労省が進める「電子カルテ情報共有サービス」や「電子処方箋管理サービス」などとつながるのが特徴だ。患者のアレルギーや検査、感染症などの情報、処方・調剤情報を閲覧・登録でき、医療機関の間で共有できる。
アルファ版は、診療録入力などの機能を備え、外注検査システムとも連携する。検査オーダーを登録すると自動で検査会社のシステムに検査を依頼し、検体容器用ラベルの印刷もできる。検査検査結果は自動で診療録に転記し、電子カルテ情報共有サービスとも連携する。各検査項目は時系列で表示する。
