中医協は12月22 日、2024年6月の診療報酬改定に向け、がんゲノムプロファイリング(CGP)検査や遺伝学的検査の評価などについて議論を始めた。厚生労働省はCGP検査について、保険適用範囲を拡大し、標準治療前でも検査を可能にするといったことが妥当かを論点として提示した。しかし、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、先進医療会議での検討結果に言及し、「アウトカムが改善するかが検証されておらず、現時点で保険導入するのは時期尚早」と慎重な意見を述べた。
長島氏が指摘した先進医療は、京都大学医学部附属病院や国立がん研究センター中央病院で承認され、がん研究センターで現在、継続中。京大病院では2023年1月に先進医療の取り扱いが終わり、総括報告書がまとめられている。
総括報告書を踏まえ厚労省の先進医療会議では、薬事承認を妨げるデータは得られていないとしつつ、「真の有効性を発揮するか否かは、本技術の導入後もさまざまな結果を収集し、検討を加える必要がある」と結論付けた。
支払い側の委員からも「先進医療会議で有効性、安全性の評価が行われた後に、保険導入するかを議論するべき」(松本真人委員)、「ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループの議論なども見ながら今後検討いただきたい」(佐保昌一委員)など、検討課題とすべきとの発言があった。
2022年度改定以降に新たに指定難病となったり、診断基準が見直されたりして、診断のための遺伝学的検査が必須となる6疾患について、遺伝学的検査の対象範囲に含めることに各側委員からは異論はなかった。
また、保険医療機関の連携で行う病理診断で、衛生検査所が標本作製を委託されて行っている場合、衛生検査所から病理診断を行う医療機関への直接送付を、評価すべきかも議論となった。