厚生労働省の医療機器に関する懇談会が11月2日に開かれ、働き方改革に伴う物流業界の「2024年問題」への対応策を議論した。物価上昇や2024年問題に起因する物流コストの上昇を、メーカーから医療機関までサプライチェーン全体での負担が求められるとの認識で一致。厚労省は、年内をめどに対応策を列挙した通知を発出し、メーカーや販売業者、医療機関に2024年問題の影響を抑えるための協力を求める。
懇談会が取り上げた医療機器には、臨床検査関連の装置や採血管なども含む。厚労省は運転手不足などで、発送から納品までのリードタイムが長くなったり、段ボール箱の傷つきや破れといったダメージが増えたりするなどの輸送品質の低下が起きる可能性を列挙。医療機器の修理などの緊急時対応が困難になる可能性も挙げ、対応策について意見を求めた。
懇談会では、物価や人件費の上昇などもあり、医療機器の流通コストの上昇は避けられないとし、メーカーや運送業者、販売業者、医療機関のそれぞれが「コストの価格転嫁」の受け入れが求められるとの認識で一致。価格交渉に当たっては、コスト上昇分を考慮した上で適切な価格決定に取り組み、医療機器の安定供給を確保すべきとした。納品のスケジュールや場所、特定ロットの指定といった厳格な納品ルールの緩和が配送効率化につながることも挙げた。
同日はまた、医療機器ディーラーで組織する日本医療機器販売業協会が、業界自主ルールの「適正使用支援ガイドライン」の作成状況を報告した。来年度からの運用を目指している。
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