病理検査室で火災、復旧まで1年超 静岡県立総合病院「事例知って」
- mitsui04
- 2024年12月23日
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更新日:2024年12月23日
静岡県立総合病院(静岡市、718床)の病理検査室で2022年9月24日午後3時ごろ、火災が発生した。土曜日でスタッフはおらず人的被害は免れたが、火元の染色室から延焼し、1年以上にわたって病理検査室は使えなくなった。当時技師長だった平松直樹氏(静岡県立病院機構本部医療技術指導監)、部門長の坂根潤一氏がこのほど本紙の取材に応じ、当時の状況やその後の防火対策などについて語った。坂根氏は「当院の事例を知ってもらい、日頃からの対策を考えてほしい」と呼びかけている。

「呆然とした」。火災発生の一報を平松氏から受け、自宅から最初に駆け付けた坂根氏は、2階の窓から吹き出す炎を見たときの心情をそう話す。建物の端から何番目の窓かを数え、「間違いなく病理検査室だと」。検査室には自動包埋装置で処置中だった何十人分もの患者検体がある。「組織検体が焼失したら診断ができなくなる」。病理技師としてまず考えたのは検体を一刻も早く安全な場所に移すこと。鎮火後、消防士と一緒に室内に入り、全ての検体を安全な場所に移した。
火災が起きたのは3連休の真ん中の9月24日午後。県内では、台風15号による大雨で山崩れが発生し、送電鉄塔2基が倒壊。静岡市を中心に13時間の停電に見舞われた。火災は、その停電が復旧した20分後に起きた。火元は染色室。原因は不明だが、一般的に用いられる装置から出火したとみられている。スタッフルームなど病理エリア4室が焼け、火災のすすで大半の装置が使えなくなった。階下の中央滅菌材料室は消火時の放水で水浸しになった。
