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細胞検査士、2つの「精度管理」に役割 臨床細胞学会、HPV単独法受け

 市町村の子宮頸がん検診にHPV検査単独法が導入されたことを受け、日本臨床細胞学会が対応に動いている。単独法が普及していけば細胞診の件数は大きく減少し、細胞検査士の仕事も減る可能性がある。このため新たな活躍の場として、検診全体を管理する学会認定アドバイザーへの門戸を開いた。また、HPV陽性に対する細胞診の判定が適切に行われるようワーキンググループ(WG)で検討に入った。

田畑氏
 厚労省の事業報告によると市町村の子宮頸がん検診の受診者数は年約336万人(2022年度)。同数の細胞診が行われていることになるが、細胞診の対象がHPV陽性に絞られれば、検査数の大幅な減少は避けられない。

 30~49歳に対する細胞診・HPV検査併用法の効果を調べた研究結果によるとHPV検査の陽性率は7.6%。トリアージ精検(細胞診)の対象者はこれまでの1割近くにまで減る可能性がある。日本臨床細胞学会の田畑務副理事長(東京女子医科大学)は、20歳代への細胞診は継続されるとしつつ、「HPV検査単独法になれば細胞診の数が激減する。危機感がかなりある」と話す。

 田畑氏が中心になり学会は対応に乗り出している。一つは、学会認定の「細胞診の精度管理アドバイザー(子宮頸がん)」の対象を4月から細胞検査士にも広げたこと。これまでは細胞診専門医のみが対象だった。年1回の講習を3回受講して認定される仕組みで、今年秋にも初の認定者が誕生する見通し。

 さらに、HPV陽性の細胞診判定についてWGを設け、3月から検討を開始した。WGでは、「CIN2以上を見落とさない」ことを前提に「ASC-USと断定できず、疑わしいものはNILMにする」との基本方針案の妥当性を検証していく。WGの検討結果は、来年6月の学会春期大会で報告する予定だ。
2024.06.03_記事下登録誘導バナー_PC.png

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