血小板の新製剤、外観確認が変更に 日赤が注意呼びかけ
- mitsui04
- 6月16日
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日本赤十字社は、細菌スクリーニングを行った新たな血小板製剤の供給を今夏に開始する。採血後、細菌が十分に増殖する時間をおいてから培養検査を行い、陰性血の製剤のみを供給する。輸血感染リスクの低減が狙い。また血小板はそもそも凝集物をつくりやすい特性があることから、著しい場合以外は安全性や品質に差がないとして供給する。今後は凝集物のある製剤が納品されることがあり、輸血の現場では外観確認の方法が変わることに注意が必要となる。
5月31日、札幌市で開かれた日本輸血・細胞治療学会学術総会のシンポジウムで日赤血液事業本部の田村智子課長が報告した。田村氏は、新たな血小板製剤について院内での周知を要請し、さらに「凝集物の有無により安全性や品質に差がないことから輸血に使用できることを理解してほしい」と述べた。
輸血による細菌感染症は、安全対策として初流血除去や保存前白血球除去を導入した2007年以降も年に数件程度発生し、全て血小板製剤が原因血となっている。日本は製品の有効期間を諸外国より短い採血後4日間としているが、これらの対策をとっていても2017年、2022年、2023年には各1例の死亡事例が起きた。このため日赤は、イングランドが導入し従来法よりも効果が高いと報告した改良培養法(LVDS)を参考にした細菌スクリーニングを導入することとし、今夏以降、新たな血小板製剤に変更する。
●凝集物ある製剤も供給
新たな血小板製剤は外観確認の方法が大きく変わる。日赤の説明によると血小板は採血直後や製造工程で非細菌性の凝集物をつくりやすい特性がある。これまでは細菌混入による凝集物と区別できないため使用不可としていたが、細菌スクリーニング導入後は「著しい凝集物でない限り輸血に使用できる」として供給する。
凝集物の程度は、大きさや個数によって0から3までの4段階で判定し、レベル0から2までは供給する。最も程度が強いレベル3は、輸血フィルターが詰まる可能性があることなどから供給しない。レベル3は、▽大(4mm以上)が1個以上▽中(2〜3mm)が6個以上▽小(1mm以下)が21個以上―のいずれかを満たす場合とした。
