厚生労働省は12月13日、血液事業部会・運営委員会を開き、輸血に関わる感染症研究(7〜8月受理分)3件を報告した。うち1件は、脳アミロイド血管症(CAA)の輸血感染の可能性を示した海外の研究報告。概要を説明した国立感染症研究所の委員は、実際に伝播するリスクは極めて小さいとしつつ今後このグループの研究を注視していくべきと指摘した。
厚労省の資料によるとCAAは、多発性脳内出血(ICH)と脳内アミロイドβの沈着を特徴とし、アルツハイマー病型認知症の大半に併発するとされている。
同日の会合で報告があった一つは、スウェーデン・カロリンスカ研究所のグループの論文。スウェーデンとデンマークの献血と輸血関連のデータベースから100万人以上のデータを解析したところ、多発性ICHを発症したドナーから血液を受け取ると、ICHの発症リスクが3倍高くなることが分かった。アミロイドβを介してCAAが伝播した可能性があるという。ただ、献血後に多発性ICHを発症した人からの献血由来の血液製剤を輸血される確率は0.1%程度で「極めて低い」としている。グループは引き続き、血液からの異常タンパク質の同定を研究しているという。