途上国の細胞診検査、SNSで支援 広島県技師会元会長の安松氏フェイスブックで細胞診の所見をアドバイスする 細胞検査士として長年活動してきた山陽女子短期大学名誉教授の安松弘光氏(84)が、フェイスブックを通じてアジアやアフリカなどでの細胞診の技術支援を行うボランティア活動を続けている。現地の医師らとつながり、専門書の英訳版を無償で提供するほか、送られてきた細胞の染色画像に助言する。医療インフラが未整備の地域で働く医師たちを支えたいとの思いから日々、国際交流を続けている。 安松氏は、技師学校卒業後、東洋工業附属病院(現マツダ病院)の臨床病理部に勤務。20代で米国に留学して細胞診の技術を磨き米国細胞検査士CT(ASCP)、国際細胞検査士CT(IAC)などの資格を取得した。初代技師長となった広島市立安佐市民病院(現広島市立北部医療センター安佐市民病院)に20年以上務めたのち山陽女子短期大学教授に就任し、臨床検査技師の育成にも当たってきた。広島県臨床検査技師会の会長も務めた。 70歳を過ぎてからフェイスブックを始め、海外の病理医などに積極的に友達申請。翻訳アプリを活用してメッセージをやりとりし、送られてきた組織や細胞の染色画像についてアドバイスしている。 パパニコロウ染色は試薬のコストが高く、比較的安価なHE染色やギムザ染色の細胞画像を送ってくる医師もいる。染色方法の変更を勧めても資金がないため容易には対応できず、日本との違いを実感するという。 自身が執筆し、複数の大学で教科書として採用されている「細胞診検査の技術」の英訳版を自費出版し、PDFを無償で提供。これまでに、ボリビアやアルメニア、マラウイなど約50カ国の約250人以上に送った。 2024年3月には、ナイジェリアの医師から「顕微鏡がない」と相談を受け、知人の検査技師が使っていた中古を自費で送った。その医師は、感謝の気持ちを込め、安松氏と知人の名前を冠した無料の子宮頸がん検診を現地で企画しているという。 フェイスブックでは、地方の町の様子や、粗末な装備しかない検査室の写真も届く。医療インフラが未整備なことを痛感し、途上国への医療支援の必要性を強く感じている。「1人の力でも、少しなら役に立てる。ボランティア意識を持ち、興味のある臨床検査技師には国際交流をやってもらいたい」と願っている。
フェイスブックで細胞診の所見をアドバイスする 細胞検査士として長年活動してきた山陽女子短期大学名誉教授の安松弘光氏(84)が、フェイスブックを通じてアジアやアフリカなどでの細胞診の技術支援を行うボランティア活動を続けている。現地の医師らとつながり、専門書の英訳版を無償で提供するほか、送られてきた細胞の染色画像に助言する。医療インフラが未整備の地域で働く医師たちを支えたいとの思いから日々、国際交流を続けている。 安松氏は、技師学校卒業後、東洋工業附属病院(現マツダ病院)の臨床病理部に勤務。20代で米国に留学して細胞診の技術を磨き米国細胞検査士CT(ASCP)、国際細胞検査士CT(IAC)などの資格を取得した。初代技師長となった広島市立安佐市民病院(現広島市立北部医療センター安佐市民病院)に20年以上務めたのち山陽女子短期大学教授に就任し、臨床検査技師の育成にも当たってきた。広島県臨床検査技師会の会長も務めた。 70歳を過ぎてからフェイスブックを始め、海外の病理医などに積極的に友達申請。翻訳アプリを活用してメッセージをやりとりし、送られてきた組織や細胞の染色画像についてアドバイスしている。 パパニコロウ染色は試薬のコストが高く、比較的安価なHE染色やギムザ染色の細胞画像を送ってくる医師もいる。染色方法の変更を勧めても資金がないため容易には対応できず、日本との違いを実感するという。 自身が執筆し、複数の大学で教科書として採用されている「細胞診検査の技術」の英訳版を自費出版し、PDFを無償で提供。これまでに、ボリビアやアルメニア、マラウイなど約50カ国の約250人以上に送った。 2024年3月には、ナイジェリアの医師から「顕微鏡がない」と相談を受け、知人の検査技師が使っていた中古を自費で送った。その医師は、感謝の気持ちを込め、安松氏と知人の名前を冠した無料の子宮頸がん検診を現地で企画しているという。 フェイスブックでは、地方の町の様子や、粗末な装備しかない検査室の写真も届く。医療インフラが未整備なことを痛感し、途上国への医療支援の必要性を強く感じている。「1人の力でも、少しなら役に立てる。ボランティア意識を持ち、興味のある臨床検査技師には国際交流をやってもらいたい」と願っている。