日本臨床衛生検査技師会は、大規模震災や新興感染症に備えた各都道府県技師会の災害対策の支援を進める。都道府県との協定締結を後押しする取り組みや、被災地での支援活動を担える人材育成を急ぐ計画。県と協定を結んでいる県技師会は昨年12月時点で3カ所のみだが、必要なノウハウを提供し、来年度中に20カ所超での協定締結を目指す。
昨年12月23日には、各技師会の担当者を対象にしたウェブ会議を開き、県と協定を締結済みの山梨県臨床検査技師会から、締結に至るまでの県担当部局等との具体的な手続きや課題点、対応策などの説明を受けた。次回2月には徳島県臨床検査技師会に協定締結までのノウハウを報告してもらう予定。
被災地支援で活躍できる臨床検査技師の育成事業も幅広く展開する。災害対応の知識や技術を学べるVODを作成する考えで、コンテンツとして「災害医療概論」「情報管理」「災害医療マネジメント」「被災地での情報収集、情報発信」「本部運営」などを盛り込む。VODは、災害対策を繰り返し学べるツールとして各技師会に活用してもらう計画だ。
災害時に、臨床検査技師が雇用施設とは異なる施設で医行為を実施することに問題はないかなど、法的な制限の確認も行政との間で進める。日臨技の会員システム等を活用して安定的に人材を確保し、派遣できる仕組みの検討にも入る。
●奥沢氏「平時の備えが重要」
日臨技の奥沢悦子執行理事は、「災害対策は日常業務の中で実感が湧きにくいテーマだが、新興感染症を含めた自然災害はいつ起こるか分からない。万が一の場合であっても、検査機能を維持し、安定的に業務を行うためには平時からの備えがやはり重要になる」と呼び掛けている。
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