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〈記者コラム〉ベースアップと診療報酬

 2024年度の次回診療報酬改定の議論が大詰めを迎えている。改定DX(デジタルトランスフォーメーション)を掲げた今回は6月実施となるが、2月の中医協答申、3月の厚生労働省告示というスケジュールは変わらない。改定の実施期日を繰り下げることで、電子カルテなどの改修にかかる作業を平準化させるのが狙いの一つだ。


 目玉は、医療関係職種の処遇改善への対応だ。昨年12月末の予算案の折衝では、財務大臣と厚生労働大臣との間で診療報酬の本体改定率を0.88%増とし、うち0.61%を医療関係職種の賃金のベースアップに充てることが決まった。外来、訪問診療、入院の診療報酬に「ベースアップ評価料」を新設し、賃金上昇に取り組む医療機関が算定できるようにする。


 改定の内容を議論する中医協では複数の委員から「評価料の全額を対象職員の賃上げに充当することや、その実態を医療機関ごとに検証することが前提」との意見が出ている。「賃上げに必要な財源が確実に医療機関に届くように」と釘をさす指摘もあり、実効性のある取り組みが算定の前提になる。


 診療報酬の引き上げは、国民と患者が直接そのコストを負担することに他ならない。である以上、賃上げの意義を国民や患者の個々人に理解してもらうことが欠かせない。医療職の待遇改善を社会全体で支えることの意味をそれぞれで考えてほしい。(下)

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