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〈記者コラム〉災害対策モードは機能するか

 神奈川県臨床検査技師会が10月にリニューアルするホームページに、大規模災害時に発動する災害対策モードが導入される。普段は隠れている機能だが、緊急事態になるとトップ画面にアラートメッセージが大きく表示され、会員の安否確認や所属検査室の被災状況、電気や水の供給状況などを入力する情報共有システムに切り替わる。会員周辺の被災状況をなるべく早く把握し、必要な支援や情報発信につなげるための体制づくりの一環だ。

 デザイン等が刷新された新たなホームページ公開後も、災害対策モードの運用は継続的に検討を重ねる計画だという。神臨技の災害対策マニュアルの考え方を落とし込んだ上で、シミュレーションや訓練を繰り返しながら課題をつぶして実用性を高めていく。

 有事に備えた枠組みの意義を感じる一方で、やはり気になるのは想定外の大規模災害発生時に、このモードがしっかり機能するのかといった点だ。生活インフラが打撃を受け、通信網や交通網がまひしてしまえば、予期せぬ事態は必ず起きる。

 実際の運用や訓練では、災害への意識が薄く、専門知識もほぼない検査技師の目線に合わせることが一つの鍵になると思う。専門家の視点で運用ルールを作り込み過ぎてしまうと、現場が対応しきれず空回りしかねない。

 最低限必要な情報や対応を求めながらも、運用は柔軟かつシンプルに―。誰もが自分のことで精いっぱいの状況下で、会員に何をどこまで求めるかの判断は難しい。理想と現実のバランスを常に意識しながら、現場に浸透しやすい運用に進化させていくかが問われてくる。(水)

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