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〈記者コラム〉初めての検査実務

 臨床検査技師の養成教育カリキュラムの次期改正に向けた動きが進んでいる。現行カリキュラムの見直し検討時期となる2026年を控え、日本臨床衛生検査技師会のワーキンググループが臨地実習に関する見直し案をまとめた。学生を受け入れる検査室への影響もあり、提言に対する意見を現在、広く募集している。

 注目される内容の一つが、臨地実習の「進捗」と「達成度」の評価内容や基準設定、統一化といった提案だ。特に「進捗」は評価そのものが現在ないため、実習施設から学校養成所への中間チェックが働けば、実習全体を底上げするアプローチになり得る。ただ、今はない評価業務に伴う負担が生じるため、多忙な現場に配慮した運用方法や工夫をセットで落とし込めるかも課題になりそうだ。

 達成度評価では「臨地実習ガイドライン2021」を改訂し、統一された評価基準を明確に示す。指定実習行為の見直しや、学生と受け入れ施設とのマッチングシステムの整備も含め、実習の枠組み全体がブラッシュアップされる見込みで、受け入れ施設には運用変更に伴う対応が求められてくる。

 学生受け入れに伴う負担はよく聞くが、臨地実習は検査技師を目指す学生にとって、職場環境下での検査実務を初めて経験する機会だ。そこで接する皆さんの姿や振る舞いは、彼らがいずれベテラン検査技師になっても鮮明に思い出せるのではないかと思う。

 検査技師の業務、役割の広がりに合わせ、臨地実習で求める内容や基準、運用はこれからも変わり続ける。一方で、ずっと変わらないのは臨地実習が次の世代にバトンをつなぐイベントの一つであること。誰もが失敗したり、恥ずかしい思いをしたりしたそれぞれの実習時代を振り返りながら、未来ある学生に専門職としての姿勢や責任感をしっかり伝えてほしい。(水)
2024.06.03_記事下登録誘導バナー_PC.png

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