
検査機器や試薬企業の集まりである日本臨床検査薬協会(以下、臨薬協)が、アジア太平洋経済協力会議(APEC)が定めた「クアラルンプール(KL)原則」に基づく対応を各社に呼び掛けています。臨床検査技師を含めた医療従事者に対し、ペンなどノベルティの提供や、歳暮や手土産といった文化的儀礼を禁止するもので、2025年4月から業界ルールとして取り入れます。関係学会や研究会等への企業による運営サポートの指針も見直される予定です。
KL原則では、「製品のブランドを連想させる少額景品、文化的儀礼、娯楽もしくはレクリエーションを含む贈り物の提供を行ってはならない」 と規定しています。医療現場で用いられる製品の採用に影響するような利益提供はやめましょうという世界的な潮流は、すでに医療用医薬品業界では定着しており、検査業界にも同様の対応が求められるようになった格好です。

◆文具、手帳、中元、カレンダーなど禁止
これまでもMTJでも紹介してきましたが、提供が禁止される少額景品として挙げられているのは、企業名や製品名が入ったペンや付箋紙などの文具や手帳、ギミック、モバイル機器類など。慣習的な贈り物である、中元、歳暮、餞別、香典、供花、お祝いの花、カレンダーまで幅広く対象になります。
今回の取り組みは、あくまで業界の自主ルールの位置付けで、拘束力や罰則はありません。ただ、紳士協定を無視した企業活動が現実的でないことを考えれば、企業名入りの文具やカレンダーなどを見かける機会はなくなりそうです。
4月以降、実際の現場では解釈に迷うケースも想定されることもあり、臨薬協ではKL原則に照らした個別事例のFAQを整理するなど、加盟各社の対応を後押ししている状況です。企業によっては前倒しの対応を始めたところもあり、アボットジャパンやシーメンスヘルスケア、ロシュ・ダイアグノスティックスなどは関係者に理解を求める文書を配布しています。
◆学会等の運営協力の指針も改定へ