施設認証の意義やメリット巡り議論 福岡検査学会でシンポ/検査技師の育成にも貢献mitsui048月8日読了時間: 2分 第34回福岡県医学検査学会が7月27日開かれ、臨床検査室が施設認証を取得する意義やメリットを取り上げたシンポジウムが行われた。日本臨床衛生検査技師会の品質保証施設認証やISO 15189を取得している施設が、取得に至った背景や手続き上の課題、取得後の現場への影響などを報告。取得時に必要な各マニュアルや標準書の再確認などが、内部精度管理のレベル引き上げ、検査室の人材育成にもつながっているとの声があった。 シンポでは、日臨技・品質保証施設の認証施設の立場から、朝倉医師会病院臨床検査科の藤井広美氏が講演した。2018年の医療法等改正に伴う新たな文書作成を含め、さまざまな標準作業書、作業日誌、台帳などの運用状況を解説。文書作成に当たっては、日臨技が公開している作成支援を参考に、▽部門ごとに統一書式・フォントを使用▽データは決まったフォルダーに保管し、個人所有を禁止―などのルールを取り入れていることを紹介した。 認証取得後は、標準作業書等を一元管理したことで必要な文書に簡単にアクセスできるようになり、トラブル発生時に作業書を照らし合わせることも容易になったと指摘。新入職者の教育や学生実習に活用できることもメリットに挙げた。その上で、多くの文書の作成、運用、レビュー、改訂を重ねることで、検査の質を担保するだけでなく、臨床検査技師の技量向上にもつながると強調した。●制度バージョンアップへの対応も 小倉記念病院検査技術部の大井慈文氏は、施設認証のための書類提出などを通じ、各マニュアルや書類を再確認する機会になったと振り返った。さらに施設認証によって、「検査室のレベルや検査技師のスキルアップ、施設への精度保証の証明にもなり、ひいては臨床検査室を守っていくことにもつながる」との見方を示した。 今後考えられる課題としては、日臨技品質保証施設認証のバージョンアップへの対応や、検査室内の人材育成が不可欠になることに言及。また、施設認証の取得への対応が、将来的なISO 15189の受審への足がかりになるとの認識も示した。